今回は「反復の原則」について書いていきます。整列の原則含め、デザインの4原則については以下をご参照ください。
このシリーズの想定ユーザーは以下の方々です。
データ可視化ツールには慣れてきたが、何をどう可視化したらいいか分からない
いまひとつ自分の可視化がイケてない気がする
可視化のプロセスが分からない
参考書は以下に挙げます。主にノンデザイナーズ・デザインブックを参考にしていますが、データ可視化の観点からMakeoverMonday本も参考にしています。
あとは、自分のデータ可視化の原点であるStorytelling With Dataも参考書として挙げておきます。
このシリーズで使用したTableau Workbookは以下からダウンロードできます。
(Disclaimer)
ここで書き表すことは絶対ではありません。データ可視化を集中的にやり続けている人間の、一意見として捉えて下さい。
【反復の原則】
復習として、ノンデザイナーズ・デザインブックでの反復の原則を再引用します。
反復(Repetition)
デザインの視覚的要素を作品全体を通して繰り返すことです。
色、形、テクスチャー、位置関係、線の太さ、フォント、サイズ、画像のコンセプトなどを反復させることができます。
反復は、組織化を促進し、一体性を強化します。
データ可視化における反復の原則は「一貫性」と「情報の組織構造の分かりやすさ」です。
可視化において反復している要素に統一感を与え、かつ目立つようにしましょう、ということです。
(注:参考書では視覚的な面白さについても言及されていますが、ここではデータ可視化への応用を扱うため、実用的な上記2点についてのみ扱います)
データ可視化で反復して現れうる要素は複数ありますが、今回は「可視化のタイトル」に絞ってお話します。
【データ可視化における反復の原則の例】
まず初めに、次のデータ可視化をご覧ください。
悪くはないかなと思うのですが「情報のまとまり」がちょっと分かりにくい印象を受けます。主に各可視化のタイトルが「視覚的な印象が弱い」ことに起因するのかなと。
そこで「近接の原則」を用いて、情報をグルーピング化します。
タイトルの背景色を与えたことによって、情報のグルーピングは確かにできました。
一方で「扱っているデータが違うし色も変えておくか」くらいの気持ちで背景色を変えてしまうと、一貫性が大きく損なわれます。
この可視化の問題点はもう一つあり、各可視化のタイトルが可視化内の文字サイズと大きく変わらないので「情報の組織構造」が分かりにくい点です。
ということで「一貫性」をもたせ、かつタイトルの文字サイズを変え「情報の組織構造の分かりやすさ」の改善を狙ったデータ可視化がこちらです。
ちなみにタイトルの背景色を削り、文字サイズのみを変えた場合は以下となります。
文字サイズを大きくするだけでも「情報の組織構造」が分かりやすくなったように思います。
背景色はMustということもなく、どのくらいハッキリ見せたいかにも依存するかもですね。
大切なことは「反復して現れる要素」であるタイトルに「一貫性」と「分かりやすさ」を与えましょう。それにより「情報の組織構造を分かりやすく」しましょう、ということです。
【反復の原則の良い例】
最後にもうひとつ例をお出しします。
MakeoverMonday 2019W14のお題に対する作品です。
Tableau Public: https://tabsoft.co/2Hrhnpj
タイトルをとても効率的に使用しており、情報の組織構造が分かりやすいです。
全体的な色遣い含めた一貫性・統一感もあります。
(強いて言えば「整列の原則」の要素が、もう少しあるとありがたいです)
一貫性や情報の組織構造がキレイだと、見る側も安心してデータに集中できるように思います。
データ可視化/データ分析は論理的な部分が大きいですが、一方でデザインのような感性的な要素も大きな助けになるように見えます。
【最後に】
今回はデザインにおける「反復の原則」を、データ可視化の観点から解説しました。
これは「一貫性」と「情報の組織構造の分かりやすさ」についてでした。
次回は「コントラストの原則」について書く予定です。
ご質問等はTwitterまたはLinkedinまでよろしくお願いします。それでは。