(2020/03/06 加筆修正)
データ可視化に関するコラムを始めます。
目的はデータ可視化に関する体系的知識をまとめることです。
データ可視化に関する書籍や記事を参照しながら書いていきます。
以下の方を主対象として書いていきます。
データ可視化に携わっている
Tableau等のデータ可視化ツールには慣れてきたが、知識に薄さを感じる
データ可視化のプロセスが分からない、良い可視化を作れていない
上記の方へ向けた記事を書いていきます。
知識を一緒に強化していきましょう。
著者は何をしている人か
端的に言えば、複数事業領域でのダッシュボード開発を主業務にしてきました。(執筆時点で)最近はデータ可視化に関する教育も手掛け始めました。
また個人的にNPO等のデータ可視化プロジェクトに参加しています。
自分のキャリアの大半は(といってもまだ短いのですが)データ可視化、ダッシュボード開発に使われてきました。
自分の復習として、また学びの共有として執筆をしている次第です。
それでは本題に入ります。
データ可視化の3つの軸
思うに、データ可視化は大きく分けて3つのスキル軸があるように思います。
可視化の方向性をデザインする「思考の軸(誰に何を見せ、何をさせたいか)」
可視化自体をデザインする「デザイン技術の軸(どう見やすくするか)」
最適な可視化手法を選ぶ「知識・技術の軸(どの形で見せるか)」
全て重要なのですが、特に「思考の軸」が一番重要だと考えています。
このコラムの想定読者の中に、可視化にお悩みの方を含めています。
ひとつ大事なことをお伝えします。
「誰に何を見せ、何をさせたいか」が定まっていない可視化は、ほとんどの場合わかりにくいです。
自分が伝えたいストーリー、伝える相手、伝えた後のアクションプラン(インパクト)が自分で描けていないのに、人に何を伝えることができるのでしょうか、という問題提起です。
しかし、仮に「伝えたいこと」が定まった際に、その「伝え方」が正しくないと、その伝えたいことは伝わりません。
この「伝えたいこと」を司るのがデザインと知識・技術の軸ですが、これはまた改めて論じましょう。1番目の思考軸が、何よりも大切です。
したがって、初回はデータ可視化の「思考の軸」について書きます。
最初に:データ可視化を目的にしない
手元に何かしらのデータがあるとします。ある程度のデータ理解も終わり、データ可視化ツールも準備万端。データが読み込まれることを待っています。
ここで立ち止まってください。
データ可視化の目的は何でしょうか。
様々な答えがあるかもしれませんが、以下に自分が信じる姿勢を述べます。
我々はデータのためにデータ可視化を行うべきではありません。
データを見る『人』のためにデータ可視化を行うべきだと思います。
データ可視化は「手段」です。
その先にある「目的」を達成するための、選択肢の一つに過ぎません。
この「目的」について考えることが最初のステップです。「どのように可視化するか」という手段は、目的に従います。
下図はTableau社のビジュアル分析のサイクルから引用しました。
(この記事の詳細は今回は割愛しますが、大変オススメの内容です)
詳細はリンク先の記事を読んでいただければと思いますが、最重要ポイントをここで述べます。
一番上の「Task:誰が何を知りたいか、何をするべきか」の定義から始めてください。
以下で詳しく取り扱います。
「誰が」「何を知って」「何をするのか」を考える
繰り返しますが、可視化は「人」のためです。
データ可視化の目的は大きく分けて、人がデータを見て理解することで
現状を把握する
質問の答えを見つける
取るべきアクションを決定する
ことを達成することだと思います。
したがって、「誰が見るのか」「知りたいことは何か」「想定されるアクションは何か」これらを定義することが重要になってきます。
この3点でクリアであれば、可視化の方向性は自ずと決まります。
必ず最初にこれらを定義してください。
なぜアクションまで定義するのか
可視化やダッシュボードを納品して終了、というプロジェクトやケースはそれなりにあると思います。
その場合、確かに事情としては要件は「(誰が)何を知りたいか」までで終わるかもしれません。
ただ「アクション」まで見据えたデザインをしなかった場合、作成物は使われなくなる、またはユーザーが満足するものにならない場合が多いのではと思います。
どういう使い方をするのか、どう使いたいのかまで落とし込むこと。
可視化の使われている場面を明確にイメージし、そのイメージをユーザーと確認すること。
可視化を用いて何を達成したいのかを明確に定義すること。
上記3点を怠ると、ただの使いにくいアート作品が出来上がってしまう可能性があります。
繰り返しますが、自分たちは人のためにデータを可視化します。
必ず「どう役に立つことが出来るのか」を最初に定義してください。
(自戒も込めてます。アクション定義が薄かったために、結局使ってもらえなくなった可視化もありました。)
最後に
「誰に何を見せ、何をさせたいか」を最初に決めてください。それだけです。
方針が明確になったのなら、見せ方を考えることはかなり楽になります。
次回は「デザイン技術の軸」について書く予定です。
ご質問等はTwitterまたはLinkedinまでよろしくお願いします。それでは。